ー 10月19日 ー
朝起きるとめぐみさんオススメのアパートの近くのパン屋でパン・オ・ショコラを購入し、
カフェラテとヨーグルトで朝食タイム。
ここがパリだからなのか、なんなのか、なんかそれだけでパンがおいしく、
なんかそれだけですごく幸せな気持ちになった。
そんなちょっとした幸せから始まる今日の観光は、
アパートの前のバス停からバスに乗りひとまずCHATELETへ。
バスを降りるとそこから歩いて、
シテ島にそびえるフランス・カトリックの総本山、ノートルダム大聖堂へと向かった。
12世紀から14世紀にかけて、170年以上の歳月を費やして建てられたノートルダム大聖堂。
ファサードを構成する正面の二本の塔が印象的だ。
中に入ると荘厳でいて巨大な内部空間という、大体いつものパターン。
ただ非常に細密に構成されたステンドグラスや、巨大なバラ窓はとても美しかった。
ぐるりと巡って中を出た後は背面の造りがきれいそうだったので、回り込んで後ろ側へ。
すると、ちょうど韓国のウェディング雑誌の撮影が行われていた。
このダウンを着る程寒い中、肩を見せ頑張る花嫁。
ルーヴル美術館でも撮影が行われていたので、パリ特集を組んでいるのかもしれない。
近くのパン屋で昼食用のサンドイッチを買うと、
急いでメトロに乗り込みオルセー美術館へ。
時計を見るともう2時過ぎ。
今日は夕方6時からパリを拠点に仕事をしている親戚と会う予定だったので、
これから美術館を見ることを考えるとちょっと余裕をこき過ぎてしまった。
オルセー美術館に着くと早速チケットを購入し、中へ。
(美術館の詳細は世界の美術館めぐりで)
この建物は、もともとは1900年のパリ万国博覧会開催に合わせて、
オルレアン鉄道によって建設されたオルセー駅の鉄道駅舎兼ホテル。
それを改装し、19世紀美術を展示する美術館として
生まれ変わることとなったのがオルセー美術館だ。
美術館の中央ホールは地下ホームの吹き抜け構造をそのまま活用し、
建物内部には鉄道駅であった面影が随所に残っている。
廻り始めて気づいたこと。
こりゃ広いわ。
特別展も面白かったし、コレクションも良いものが多く、見始めるととにかく時間がかかった。
あっという間に5時近くになったところでギブアップ。
急いで今日の集合場所である、親戚みほさんの働く国際機関「OECD」の本部へ。
日本語でいうと経済協力開発機構である「OECD」
( Organization for Economic Co-operation and Developmentの略)は、
ヨーロッパ、北米等の先進国によって、
国際経済全般について協議することを目的とした国際機関で、
本部はパリに置かれ、「先進国クラブ」とも呼ばれている。
最寄駅を降り迷いながらもなんとか発見したOECD。
国際機関らしく、外観からしてちょっとうちらには近付き難いような感じが出ている。
電話で連絡を取りながらセキュリティチェックを終え
本部に入るとみほさんがお出迎えしてくれた。
パリを拠点に海外を飛び回り活動するみほさん。
生活の基本がパリなので、小学生くらいの時はよく遊んでもらっていたらしいが
今ではいとこのちぃでも滅多に会うことができない。
俺に至っては高円寺阿波踊りの日に会って以来の2度目の再会だ。
軽いハグで感動を喜ぶと、みほさんのご好意で社内を案内してくれることに。
案内される程自分の世界とは遠く感じてしまう空間。
壁には世界のニュースが張り出され、会議室には各国の代表が集う。
昨日はどこの国の大統領が来ていたとか、明日は何々の世界会議があるとか、
経済・教育・様々な分野について国のトップが集う場所。
普通じゃ絶対に訪れることのないこの空間は
みほさんがいなければ一生ここに来ることはなかったかもしれない。
いやむしろ来ても入れないに違いない。
様々な部屋を紹介してもらう度にみほさんの存在に尊敬&恐縮してしまう。
こんなすごいところで働いている人が親戚にいるとは、、、
一通り目から鱗を落ちるような話をずっと聞きながらお腹も空いたところでディナータイム。
あらかじめどんな店がいいかと聞かれていたので、
あんまり星付きレストランのような緊張してしまうお店より、
気軽な感じで入れる居酒屋ビストロ風なお店でよろしくお願いします、と伝えていた。
そんな贅沢なお願いをして連れてきてもらったお店はフォアグラ専門店。
外にかわいい看板がかかっていたお店は、
フォアグラを専門に扱うお店の中にレストランも併設している感じの造りで、とても良い雰囲気。
もう食べなくても美味いのが伝わって来る。
これはもう間違いなく美味しいでしょ。
注文は全てみほさんにお願いすると3人とも違うオススメのものをオーダーしてくれたみほさん。
注文したのは
フォアグラのソテー、フォアグラのラビオリにフォアグラのカルパッチョ。
ん、カルパッチョ?
フォアグラのカルパッチョ?
いやいやいや、そんなカルパッチョないでしょ。
と驚いたがなんとフォアグラのカルパッチョが存在した。
おそらく新鮮度MAXじゃなきゃできない芸当。
日本で食べれるところがあるのだろうか。
うちらの視界に入る所にはないに違いない。
そして注文するみほさんのフランス語が流暢過ぎて、ただただ感嘆するばかりのうちら。
みほさんに全てをお任せして、まずはパリ再会の喜びをワインで乾杯した。
スペイン以来となるワインもうま過ぎ。
話に夢中になっているとついに料理が登場した。
定番のフォアグラソテーに、少し意外なフォアグラ入りのラビオリ。
もうこれは間違いなく一流フランス料理店の料理。
それとやっぱりインパクト大だったのはフォアグラのカルパッチョだった。
薄くスライスされた数えられない程のフォアグラが、
何枚も重ねられている。
な、、、、、、な、、
なに、これ。
ただでさえ遠い存在であるフォアグラが
こんなにも様々なバリエーションをもって出てくるなんて。
フォアグラなんてもうハンガリーでしか食べれないと思っていたのに。
あまりの事態に感動するうちら。
味ももう最高に美味しかった。
もう、なんていうかホントに美味しかった。
みほさん、ホントにありがとうございます。
そして何よりも嬉しかったことはみほさんの貴重な話が聞けたこと。
国から辞めないでくださいと言われる程、
OECDという巨大な国際機関で働く希少な日本人であるみほさん。
そのみほさんから聞く話は心が熱くなるような話ばかりだった。
特に気になるのは二つの話。
一つは、世界から見た日本の話だ。
国際舞台の場での日本のイメージは、3つのSから始まる単語からとって3Sらしい。
それは
Silence
Sleep
Smile
国際会議での発言も少なく、大事な場面でも寝てしまう。
笑う所でもないのに愛想笑い。
これが国際会議の場での日本の印象であり、
コロコロ首相が変わる日本は世界からの信頼は薄いらしい。
まぁそりゃそうか。
中国の国家主席や首相が来仏した時は一面記事だが、日本の場合は文字だけの小さいコラムだけ。
この話を聞いて、ちょうどうちらが感じていることも一致していた。
世界を旅するようになってから気になるのは世界が持つイメージはアジア=中国ということ。
韓国も急激な勢いで国際化し、日本のイメージはどんどん薄くなっているように感じる。
あれだけ日本が尽くしているアメリカでさえ、日本より中国。
翻訳もまず中国語になることがほとんどだし、世界のどこにでもいるのは中国人だ。
とにかく富裕層の中国人達がほぼ全世界でお金にものを言わせている。
色んな国を旅しても言われる言葉は「ニーハオ」の方が圧倒的に多い。
(うちらが中国人っぽいだけかもしれないけど)
あの親日国のトルコでさえもニーハオと声をかけられることが多々あった。
それに韓国の躍進もすごい。
世界で見るのはSAMSUNGの文字ばかりだし、
日本語と同じくらい観光地ではハングル文字を見ることが多い。
車や日本ならではの職人さんの手による製品は世界でも幅を利かせているが、
どんどん日本が衰退していっているように思えてならなかった。
これが全く知識もないうちらが感じる率直な感想。
もう一つは、
みほさんが現在手がけているプロジェクトの話だ。
それは「2014年9月にパリで、東北の魅力を世界にアピールするイベントを開催せよ」という
指令のもと始まった、東日本大震災によって被災した中高生200人くらいによる、
パリのエッフェル塔前広場で人々を集める何かしらのイベントを企画するというプロジェクトだ。
与えられた期間は2年と半年。提供されるのは場所のみ。
イベントの内容は自分たちで決め、そのための資金調達も全て自分たちで行わなければならないし、
パリまでの旅費も自分たちで稼がなくてはならない。
もちろんみほさんが相談に乗り一緒に考えてはくれるが、
これは震災によって被災した子供達が自分の力でこの状況を打破し、
自分の力で生活していくための自立心を養うためのもの。
資金を出すのは簡単だが、あえてそうしているとのこと。
それについては子供達も誰一人として文句を言わなかったらしい。
また、このプロジェクトの始めにクリスチャン・マセ駐日フランス大使が
子供達に送ったビデオメッセージの演説がすごく印象的だった。
「この世界に類を見ない程の被害を与えた大震災。それに世界が注目しています。
東北地方の若者であるということは、皆さんには責任があるということです。
皆さんのご両親はこの地域の再建に努めていますが、
最終的にそれを引き継いで行くのは皆さんです。
そしてもう一つ責任があります。それは世界市民としての責任です。
皆さんが体験した大変な経験を、勇気と意志の強さを、世界と共有してください。
東北の未来のために、ヴィジョンを持って、
見てきたこと全てを伝えることは意義のあることです。
皆さんのメッセージをフランスに、ヨーロッパに、世界に伝えてください。」
(大体はこんな感じ、、、詳しくは
http://www.oecdtokyo.org/theme/edu/tohokuschool/index.html#message)
それを聞いた子供たちは目を輝かせて喜んだらしい。
「頑張れとか慰めとかはもううんざり、初めて生きる目標、価値を見出せた」
ただ励ますような内容ではない演説。
絶望の淵に立つ人々を奮い立たせる素晴らしい演説だと思った。
あの時、日本の首相はまず国民に対してどんな演説したのだろうか。
原発の話題ばかりで記憶にないけど、、、(もちろん原発も大事なんだけど)
とにかく料理も美味しければ、最高に話も熱いという、
最高に楽しい素敵なディナーだった。
こんなにみほさんと話ができたのは今日が初めて。
ちぃが海外留学をしたいと思い始めた頃、同じく海外留学経験のあるみほさんに
色々と相談に乗ってもらっていた、という話は前々から聞いていたが、
身近にこういう人がいると刺激にもなるし、心強かったに違いない。
さらに嬉しいことに明後日は本場のガレットゥ&スイーツに連れて行ってくれるというみほさん。
みほさんの力にあやかりまくりです。
それでは写真のハイライトで。
ノートルダム大聖堂
オルセー美術館
ディナー
アパートの近くのムーランルージュ
0 件のコメント:
コメントを投稿