2012/12/21

パンツマンとの闘い





ー 10月23日 ー
今日はフランスで最も有名な宮殿、ヴェルサイユ宮殿へと電車で向かった。

ヴェルサイユ宮殿はルイ14世が莫大な費用と49年という歳月をかけて完成させた豪華絢爛な宮殿。
あのフランス王妃マリー・アントワネットが自由奔放な暮らしをしていた宮殿としても有名だ。
子供ができてからはその生活ぶりも変わったみたいだけど。

駅を降り、まず驚いたのは霧。
もう完全に不安な気持ちにさせるほど霧が出ていた。

入り口付近にたどり着いても何も見えてこないヴェルサイユ宮殿。
「ホントはここからもう見えるんだけどね」と以前来たことのあるちぃが言う。

そっか~、
マジで何も見えないんですけど。

なぜか嫌がらせとしか思えないほどの霧が発生している。
これはこのまま今日行っちゃってもちゃんと見えるのだろうか。
なんか庭園がハンパなく広くてすごいとか言われてるんですけど、
それは見えるのだろうか。

もうこの状態だと見えないことは明らかだった。

といっても日にちを変えるのもなんなので、
とりあえずチケット売り場の長蛇の列に並び、霧が晴れることを祈った。
予想以上に時間のかかるチケット売り場。
なんとかやっと売り場にたどり着いた時、横にクレジットカード専用の機械が見えたので
最初からそれのインフォメーションが欲しかったと心底思った。
それもっと全面に出してくれればもっとスムーズに行けるでしょ。

とにかくチケットをゲットし、オフィスから外に出ると、
さっきよりは明らかに霧が消えてきていた。
ナイス。
やっと外観が見える。
あとは中を巡っている間に霧が晴れてくれれば庭園も拝むことが出来るはず。

日本語オーディオガイドを聞きながら巡る宮殿。
幾つもの部屋に分かれ、派手な装飾や多分に使われた黄金は確かに豪華絢爛。
鏡の間も圧巻の豪華さなのだが、なぜかオペラ座の方がすごかった気がしてしまった。
ん~、イマイチ感動の薄いヴェルサイユ宮殿。

それよりも修学旅行でここを訪れている日本の学生達の方が気になって仕方がない。
私立のいいとこの子達なのだろうか。
心なしか教師達の方がはしゃいでいるようにも見えるけど、
修学旅行でヴェルサイユ宮殿とは驚いた。

宮殿を出て庭に向かうと徐々に晴れ間も見え、薄れてきている霧。
まだ完全に消えたわけじゃないが、庭園の全貌がなんとなく分かるまでにはきていた。

しかし広いな。
キレイに整えられた緑がどこまでも続いている。
確かに歩いて全てを見て回るには大変そうだ。
しかも寒いし。
もうちぃはチアノーゼになりそうだし。

そうだ、帰ろう。
寒いし。

なんか思った程感動しなかったし。
寒いし。

というわけで庭園をチラ見しながらヴェルサイユ宮殿を後にした。

夕方4時くらいに戻ると、
ガイドブックに載っていたうまいと評判の「カレット」のエクレアを購入し、エッフェル塔へ。
実はクロワッサンと同じくらい好きなエクレア。
パリのエクレアなら間違いなくうまいだろうと、
エッフェル塔のベスポジにある階段に腰掛け試食タイムへと移行した。

味は、、、、

うん、普通。

ってか日本のコンビニの100円のエクレアの方がうまいわ。

これはとてもショックな出来事だった。
パリのエクレアよりも日本のコンビニのエクレアの方がうまいなんて。
もうハンパないがっくし感。
もしかしたら選んだ店が良くなかったのかもしれないが、
とても残念な気持ちのままエッフェル塔をただ眺めていた。

エクレアにがっくしきた後はルーブル美術館の地下のラデュレで差し入れ用のマカロンを購入。

というのも、なんと今日の夕飯はめぐみさんのお家で頂くことになっているのだ。
お互いアート・デザイン系だし一度話をじっくり聞いてみたかった。

地下鉄を乗り継ぎたどり着いためぐみさんの家。
玄関に上がると小さな男の子が出迎えてくれた。
めぐみさんの息子のジャド。
モロッコ人の元旦那さんのとの間に生まれたハーフの男の子だ。
ただ最初はうちらを警戒して何も話してくれない。

部屋に入るとジャドの落書きがいっぱい壁に貼ってあり、
とても可愛らしい雰囲気の部屋。

うちらはテーブルで待たせてもらうとめぐみさんの手料理の肉じゃがと炊き込みご飯が登場した。
「普通だったらフランス料理がいいかなとか思ったけど、
二人は旅も長いし日本料理の方がいいでしょ」とめぐみさん。

分かってらっしゃる。

「はい、肉じゃが、炊き込みご飯、最高です」
おかわりもあるからね、ということで、
がっつり頂かせてもらいました。

久々の家庭的日本料理にハンパなく癒され、
めぐみさんの今に至るまでの経緯や昔の仕事の話など色々話は尽きない。

話は尽きないのだが、途中からうちらに慣れてきたジャドが
俺にゲームを挑んできたため俺は話から離脱することとなった。

ゲームの名前は「MIKADO」。
これはお菓子のポッキーのフランスバージョンの名前なのだが、
ゲームにはポッキーくらいの適当な長さの細い木の枝を使う。ルールは至って簡単だ。
要は将棋崩しと同じルールで、積み重ねた木の枝を音を立てずに、
他の木の枝も動かさずに抜いていき、多く抜いた方が勝ちというもの。

いざ始めるとジャドのせこさが遺憾なく発揮された。

「あっ、動いた」
「はい、だめ~」

間違いなく動いていなくても、強制的にジャドの番になってしまう。
しかも自分がミスった時には
「あ~、これはあなたのせい、まだわたしの番ね」と人のせいにしてくるジャド。
しまいには動いても音を立てても、
何か決まった言葉を言えば全てオッケーのルールを追加してきた。

もうゲームの根底を覆してきたジャド。
そうなったらと俺もその言葉を使うのだが、
「それはそんな何回も使えないからダメだよ」と笑いながら言ってくる。

「ジャドまじずるいわ、じゃああと何回使えんの」
「あなたはあと2回ね」

人のことを「あなた」自分のことを「わたし」という、
家では日本語、外ではフランス語を操るジャドの日本語はとても面白い。
めぐみさんはその言い方はやめてほしいみたいだけど。

ルールが崩壊しても何度もゲームをしたがるジャド。
こうなるともう最終的には電気アンマを食らわせるしかなくなってしまった。

それからはひたすら俺に挑んで来るジャド。
するとなぜかズボンも脱ぎパンツマンと化して勝負を挑んできた。
どうやらこれが本気の姿ということらしい。
その度にとりあえず電気アンマを食らわせるのだが、なかなか諦めないジャド。

しかも俺の次にはめぐみさんにまで挑んで行く始末。
最終的にはめぐみさんと二人でパンツマンを倒し勝利を収めた。

といった感じで俺はずっとジャドと遊んでいたため、
めぐみさんとじっくり話すことはできなかったのだが、
とても楽しい時間だった。
あと10年もしたらジャドは相当でかくなるに違いない。

ごちそうさまでした。
楽しい時間をホントにありがとうございました。


それでは写真のハイライトで。























ヴェルサイユ宮殿




「カレット」のエクレアとタルト













めぐみさんの家でディナー

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