2012/06/24

骸骨で装飾された教会





ー 66日 ー
今日はプラハから列車で1時間程の距離にあるクトナー・ホラまで日帰り旅行。
ここにはチェコである意味一番楽しみにしていた教会がある。

セドレツ納骨堂こと通称「骸骨教会」。

約4万人の人骨を保管し、そのうち約1万人分の人骨を用いた礼拝堂内の装飾で有名な教会だ。
伝承によれば、1278年、エルサレムに使節として派遣されたハインリヒなる人物が
ゴルゴダの丘の土を手に一杯持ち帰り、その土を修道院墓地に撒いたことで、
この墓地は神聖であるとされたことが始まりらしい。
それが中央ヨーロッパ中に知れ渡り、セドレツ周辺のみならず現れた大量の埋葬希望者。
14世紀中頃にはペスト大流行により約3万人がこの墓地に埋葬され、
また15世紀のフス戦争では数千人の犠牲者が弔われ、約3.5ヘクタールの共同墓地に、
無数の死者が埋められた。
そして1870年、その教会の内装制作を依頼された木彫家フランティシェク・リントが
納骨堂に納められていた人骨を用い内装装飾を施した、ということ。
本物の人骨で装飾されているとは、普通では考えがたい異常な教会。

メキシコで出会ったノゾミさんに初めてその画像を見せられた時に、
ここには絶対行くと決めていた。

クトナー・ホラに向かう列車は一時間に一本、そのうち乗り換えなしで行けるのが二つに一本。
12時発の列車を目指し昼前に中央駅へと向かった。
チケットカウンターで往復分(時間・席は自由)を購入し、駅内をプラプラ。
中央駅だけあって中は広くきれいだった。
昼飯用のサンドイッチを購入し、列車に乗り込む。
自由席なので適当なとこに座っていたが、あまり混雑もなく快適だった。

一時間程で到着したクトナー・ホラの駅。
骸骨教会は人気なのかここで降りる人が結構多かった。
教会までは道も単純で徒歩で十分行ける距離なので駅を出て徒歩で向かう。
歩き始めてほどなくすると、干しぶどうのような匂いがどこからか漂ってきた。
歩く程に強くなる匂い。
何の匂いなのか分からずにいると、左に見えてきたフィリップモリスの巨大な工場。
匂いの原因はこれだった。
まるで干しぶどうかと思うようなタバコの匂い。
最初はまだ良かったのだが、工場の近くにいる程その匂いはきつくなっていった。

工場を越え、ほどなくして到着した骸骨教会。
思っていたより小さく、教会の周りには大量の墓が建てられていた。
教会に入ると、入り口からすでに骸骨の装飾。
骸骨教会・聖マリア教会・聖バルバラ教会の3つの入場券が
セットになったチケットを購入して、中へと入った。
(骸骨教会だけ見て帰ってしまう人も多いらしい)

入るとすぐ左右に現れる、もはや何なのか分からなくなる程に積み重ねられた骨。
これが本物の人骨と思うと不思議だ。
礼拝堂の中央には無数の骨によって作られたシャンデリアが垂れ下がっていた。

他の教会ではまずあり得ないこの異様な雰囲気。
かっこ良すぎる悪趣味。
本物の人骨で作られてるとは思えない芸術的な装飾美は
アートにしか見えなかった。

19世紀にこの教会を購入したシュヴァルツェンベルク家の楯型の紋章もまたかっこいい。
とにかく全てが人骨により装飾されたこの教会。
不謹慎なのかもしれないが、単純にかっこ良いと思ってしまった。
そしてここにまで日本人中高年ツアーが来ていたことにも驚いた。
恐るべし日本人ツアー。

続いて向かったのは、骸骨教会から歩いてすぐの距離にある聖マリア教会。
今まで教会を結構見てきてしまったせいか、骸骨教会の後に見る教会はどうも微妙だった。
最近建てられたかのようなパステルカラーの真新しい壁にキレイな天井画。
最近修復が完了したらしいこの教会は、キレイに修復され過ぎていてどうも味がなかった。
早々に終わってしまった見学の後は、
目の前のバス停から出ているバスに乗り、中心地へ。
ここにある聖バルバラ教会がどうも必見の教会らしい。

乗り始めると車内の地図を見ていても次第に分からなくなる現在地。
バス停の名前は分かりづらく、中心地に着く前の停車駅も多いので、
どこで降りるのかちょっと微妙になってくる。
そんな時にちょうど降りるおじさんが
「今はこのバス停で、君たちが降りるのはここだよ」と地図を指差しながら丁寧に教えてくれた。
なんて優しいおじさん。
おそらく観光客が降りる駅はそこしかないのだろう。
その優しさのおかげで間違えずに中心地のバス停で降りる事ができた。

20分程で到着した後は歩いて中心地へ。
パステルカラーの家やかわいい装飾が施された家。
古い教会にほのぼのとしたカフェなど昔ながらの街並がきれいだった。

カフェでパンケーキとラテを飲み休憩した後、再び歩いて聖バルバラ教会を目指す。
地図とは違う道を通ってしまい、かなり遠回りして下から登っていくルートになったが、
これがかえって良かった。
緑が美しく、地元の人しか通らないような心地よい広場。
そこからでしか見る事ができないであろう(アングル的に)、
崖の上に見える美しい家並みや、城のようにそびえ立つ聖バルボラ教会。
16世紀半ばに完成した中央ヨーロッパ屈指のゴシック様式のこの教会は
幾つもの塔が天を差す様に立っていてホントにかっこよかった。
教会へと続く道も何気ないただの道なのだが、きれいな日の光も重なって
映画のワンシーンのような景色に出会えることができた。

山道のような石畳の道を通りたどり着いた教会。
外観もかっこ良ければ中も良かった。
吹き抜けの高い天井。豪華で荘厳なパイプオルガンにモザイクではなく
色塗りされたステンドグラス。
特に印象的だったのは天井に施された装飾だった。
今まで見てきた教会ではあまりみることのなかった天井の装飾。
建てられた場所といい、ほんとに良い教会だった。

教会を見終わるとそこそこ良い時間。
18時の列車で帰りたかったので、中心地の駅からクトナー・ホラ本駅へと向かい、
またそこから一時間程かけてプラハ中央駅へと戻った。
そこから宿に帰り夕食を食べるには微妙な時間。
お腹も空いていたので駅の近くのレストランで夕食を食べることにした。
入ったお店はシナゴークの近くにあった、地元の人に人気っぽい小洒落たレストラン。
飲み物にはワインとあまり好きではないビールを注文してみた。
実はチェコは、ドイツよりも安くてうまい、と言われる程の有名なビール大国。
せっかくなのでビール嫌いの自分でもいけるかどうか試しみたかった。
まあ、結果的にはやっぱりダメだったけど、日本のよりは飲みやすい。
むしろここの料理のうまさに感動だった。
しかも安いのがうれしい。

夕食を食べ終えると夜8時。
せっかくなので名所であるカレル橋の夜景を見に行く事にした。
プラハ随一の繁華街として賑わうヴァーツラフ広場を通り、まずは旧市街広場へ。
ここはプラハの心臓部ともいえる広場で、
11世紀頃教会や商人達の住居などが建てられたのが始まりらしい。
周りには精巧な天文時計に、2本の塔が印象的なゴシック様式のティーン教会や、
白壁の美しい聖ミクラーシュ教会。
かわいい街並にオシャレなカフェやテラス。
チェコだけあって人形劇の人形を売っている店も多く、
ユーロ2012の影響で広場の中心にはHYUNDAIのデカい会場が設けられていたため、
多少普段の景観とは違うのだろうが、それでもとてもきれいだった。
今までのどのヨーロッパの国よりも好きな雰囲気。
新婚旅行で行くならプラハがいいだろうね、と二人して話した。

旧市街広場を抜け、たどり着いたカレル橋。
9時ぐらいに着いても相変わらずまだ空は明るい。
入り口の建物からしてすでにかっこいいカレル橋には、
うちら同様夜景を見る為に多くの観光客やカップルが集まっていた。

橋を渡り始めると左右に広がる美しい景色。
橋の向こうにはくっきりとプラハ城がそびえ立っている。
石造りの橋の左右に置かれる黒ずんだ彫刻もまたかっこいい。
そんないい雰囲気の中奏でられる、ストリートミュージシャンによるヴァイオリンの音色は
とても心地が良かった。
何より車が通らないのがうれしい。

徐々に暗くなり始めライトアップされるプラハ城。
カレル橋の明かりも灯り始め、周りの街並も輝き始める。
空が完全に暗くなる前の一番好きな時間帯。

ブダペストのくさり橋も良かったが、断然こっちの方がきれいだった。
今まで見た街の夜景では間違いなくNo.1。
(あんま夜景見てきてないけど)

10時を過ぎてもまだ完全に空が暗くなることはなかったが、
十分美しい夜景に満足したので、地下鉄に乗り宿へと帰った。


それでは写真のハイライトで。









セドレツ納骨堂こと通称「骸骨教会」





聖マリア教会




中心街





下から聖バルバラ教会へと向かった道








聖バルバラ教会



小洒落たレストランの食事





旧市街広場










カレル橋と夜景

2012/06/23

指名手配? チェコに到着!




ー 645日 ー
64日、
ゆっくり療養生活が送れたブダペストを後にし、
長距離バスで第14ヵ国目となるチェコのプラハへ!
ゆっくりできたおかげかちぃも完全復活を果たすことができた。
良かった良かった。

出発30分前にバス停に到着し、バスが来たところで荷物を預け乗り込む。
今回使うバス会社は「STUDENT AGENCY」という学割の利く格安のバス会社。
ブダペストを朝9時半に出発し、プラハに到着するのは夕方5時予定だ。
驚いたことにこれがなんと一人約1500円。
バスも新しくきれいで、しかもカプチーノなどのホットドリンクが無料サービス。
めちゃくちゃ快適でお得感のあるバスだった。

ブダペストが出発地のためかまだそんなに多くない乗客。
出発直前に息を切らしながらロン毛の痩せた男性が乗ってきた。
乗ってくるなり、後ろの席の見ず知らずのおっさん二人と盛り上がるロン毛。
話が盛り上がるあまり席を移動して話しだしていた。
バスは指定席のため戻るようバスガイドに注意されるが、無視して座り続けるロン毛。
明らかに厄介そうな客が乗ってきたことにバスガイドも少し困惑していた。

出発し始めると早速無料の嬉しいカプチーノタイム。
この値段でホットドリンク無料とはどうやって儲けを出しているのだろうか。
まぁ、とにかく座り心地もいいし快適なバス。
ちょうど後ろの席で盛り上がるロン毛以外は全て順調だった。

走り始めて3時間程で最初の休憩タイム。
ちょうど昼食をとるには良い時間だ。
しかしサービスエリアかと思ったらほとんど何もないようなただのガソリンスタンド。
とりあえず唯一ある小さなお店でサンドイッチだけ買ってバスへと戻ることにした。
戻るとバスの前で待ち構えているポリス。
どうやらここでパスポートチェックがあるらしい。
席に着くと前の席からどんどんチェックが始まっていった。
顔写真まで結構ちゃんと見るポリス。
うちらのチェックが終わると次はロン毛の番だ。
ドイツ語で話しているため何を言っているのか分からないが、
なぜかパスポートを持っていない旨を伝えているロン毛。

当然ポリスの尋問が続く。
何やら怪しい雲行き。

しばらく話しが続くとそのままポリスに掴まれバスを降りていった。
なんかややこしいことになってそうだな。
戻ってくることができるのかと思っていると、何事もなかったかのようにそのまま進みだすバス。

あれ、あのロン毛がまだ来てないけど、、、。
一緒に盛り上がっていたおっさんも途中でいないことに気付き、ちょっと驚いている。

ホントに置いていかれているロン毛。
なぜパスポートを持っていなかったのか、そしてなぜすんなり降りたのか。
不法滞在?指名手配中の犯人?色々な考えがよぎったが、
もしかしたらこのチェックも怪しんだバスガイドが仕向けたものなのかもしれない。

考えてもホントのところは分からないので、
深くは考えないようにしてそのままバスでプラハを目指す。
寝て、カプチーノ飲んで、時間通り到着したプラハのバスターミナル。
これで14ヵ国目のチェコ入りだ。
荷物を取り、まずは駅のATMでチェコの通貨コルナをゲットし、
インフォメーションでトラムマップをもらう。
今回の宿までは地下鉄とトラムを乗り継ぎ約30分の距離。
トラムのほぼ終点に近い場所になるので、中心地からは結構離れている。

チェコの切符は時間制なのでとりあえず30分のものを購入し地下鉄に乗り込んだ。
ここも公共交通機関に乗る際に改札機で自分で刻印する方式。
これを怠るとチェックされた時に罰金を取られるから用心しなければならない。

トラムで降りた駅が一駅間違えてしまったため、
宿を探すのに大分苦労したがなんとか7時くらいにはチェックイン。

夕飯は近くにある大型スーパーで冷凍パエリアを買って終了。
ここにもウィーン以来となるお気に入りの激安サングリアを発見したのでうれしかった。


6月5日、
なんと今回の宿は久しぶりとなる朝食付き。
期待を旨に朝食の部屋に向かうと
パン、フルーツ、野菜、フレーク、ジュース、コーヒーと充実した品揃え。
こんな充実した朝が迎えられるのはめちゃくちゃうれしかった。
しかも今回の宿はバス・トイレ・冷蔵庫付きの三ツ星ホテル。
これで一泊一部屋3500円くらいだからチェコもやはり物価が安いのだろう。

今日まず向かうのは宿の近くにある郵便局。
実はここにAmazonで頼んだプラハのガイドブックを送っていた。
それはmina perhonen (ミナ・ペルホネン)を手がけるデザイナー
皆川明さんの旅日記もついているアート中心のガイドブック「プラハアート案内」。
チェコは面白い店が多そうなので、是非これと一緒に巡りたかった。

歩いて15分程で着いた郵便局。
ホントにちゃんと届いているのか心配だったが、無事受け取ることができた。
海外の郵便局で荷物を受け取るというだけで上がるテンション。
中身もそこそこ面白く、無事届いてホントに良かった。

無事受け取れたことに安心して、次に向かう場所は
いくつかある国立美術館の一つ「Veletrzni Palace」。
現代美術や近代絵画が展示されている美術館だ。
宿からはトラムと地下鉄を乗り継ぎ約30分。
トラム駅でマップを見ながら方向を確認していると、
「〇〇○に行きたいんだけど、どうやって行くんだ?」(英語)と
うちらに聞いてくる外人観光客のおばちゃん。

いやいや、うちらが知る訳ないっしょ。
もろこっちも観光客だし、しかもなぜ一番観光客だと分かりやすいアジア人に聞いてくるのか。
うちらがアジアに行って、地図を片手に持ってる白人観光客に道を尋ねることはまずないだろう。
自転車や犬を連れてる人、もしくは現地人っぽい人を探して道を尋ねる。
普通に考えるとそうなると思うのだが、なぜかうちらに聞かれることが何回かあった。
アジア人が多く住むアメリカなら分かるが、そうじゃない所で聞かれるのが不思議だ。

しかも「Our closes is all from china」とか言ってくるし、
おそらくうちらが中国人だと思ってたからなんだろうけど。

とりあえず「Sorry.We don't know 」と言ってその場を去った。

お腹も空いたので、途中の中華料理店でランチを済ましてから向かった美術館。
外観は普通のビルのような造りだったが、
中に入ると真っ白な空間に吹き抜けの天井が気持ちよかった。
まずは一番上の階からスタートし、現代アートをゆっくり見て回る。
現代アートはなかなか分かりづらいものが多く難しいものが多いのだが、
ここのものは単純に面白くかっこいいものが多かった。

一回りし下の階へと降りる。
吹き抜けの天井を囲うコの字型のスペースが展示の全てだと思っていたら、
それ以上に広い絵画スペースが裏側に広がっていた。

いや、これ広すぎるな。
外観からは分からなかったとてつもなく広い展示スペース。
しかもそれぞれのクオリティーが高いため、
今まで見た美術館の中で一番時間がかかってしまった。
元々はクリムトの絵画(一点)を見る為に訪れたのだが、
特に良かったのは特別展で行われていたミュシャの「Slav Epicシリーズ」。

部屋の扉を開けた瞬間にその大きさに驚いた。
なんと一辺が8m以上。
そんな大作が20枚も並んでいる。
ミュシャらしい淡くきれいな色彩にポスターとはまた違う細かくリアルな描写。
見上げる程大きな美しい絵画に圧倒された。

今日は一日美術館に費やし終了。
途中休憩した美術館に併設されているカフェも良かった。


それでは写真のハイライトで。




バス移動




宿の近くの大型スーパー




Slav Epicシリーズ