2012/06/21

ブダとペストでブダペスト




ー 53031日 ー
530日、
今日はウィーンから第13ヵ国目となるハンガリー(ブダペスト)への移動日だ。

心配していたちぃの熱は朝には平熱の36.5℃。
なんとかだるさもなくなり普通に動けるまでに回復していた。
のどの痛みだけが残ってはいるが元気になってホントに良かった。
この日の体調によってずらそうかと考えていたスケジュールも無事予定通り動くことができる。
宿、交通手段、ツアーなど結構先のスケジュールまで予定を組んでしまっているうちらは、
一つずれると色々なことがずれることになる。
こういう状態になった時に調整するのが大変だなと、今回のことで実感した。

ハンガリーに向かう列車は昼の3時発。
それまでは結構時間があったので、
宿に荷物を預けるともう一つどうしても行きたかった美術館に行くことにした。
途中、薬局で喉の痛み止め薬を買い、
地下鉄とトラムを乗り継ぎ向かった先は「クンストハウス」。
ちぃが大好きなフンデルト・ワッサーの作品を最も多く所蔵している美術館だ。
美術館自体もワッサーが細部にまでこだわって作った作品。
幾何学模様に塗られた色彩と全て曲線からなる線と形が特徴的で面白い。

中にはワッサーのドローイングや版画が多数展示されていてどれも面白かった。
特に印象的だったのはワッサーも日本の浮世絵に影響を受けていたこと。
彼の絵画の中には自分の名前を漢字に割当てた「百水」という判子が押されていた。
いくつかの作品には漢字でタイトルまで入っている。
独特なフォルムと色使いで表現される彼の版画を見ていると
版画をやりたい気持ちにさせられる。

美術館に併設されているカフェには緑が多く植えられ、
彼の理想とした自然と建物の融合が上手くなされていて面白かった。
(美術館の詳細は世界の美術館めぐりで)

美術館の後はワッサーがデザインした集合住宅見学。
美術館から徒歩10分程の距離にあり、カラフルな壁がかわいかった。
ワッサーのデザインした建築を見ているとガウディを思い出してしまう。
建築というよりはアートなところが似ているのかもしれない。

ワッサー巡りをし終えるとちょうどいい時間。
宿に荷物を取りに戻り、駅へと向かった。

美術館三昧の日々を過ごしたウィーンともお別れし、列車に乗り込む。
ウィーンからブダペストまでは列車で約3時間の距離。
ついに13ヵ国目となるハンガリーに到着だ。
東駅に到着し出口に向かい歩き始めると、早々に宿の客引き&両替所+ダフ屋。
久々に見る南米のようなノリにヨーロッパから東ヨーロッパに入ったことを感じた。

とりあえずまず必要なハンガリーの通貨であるフォリントを手に入れるため
ATMを探すも、中央駅なのに珍しく見つからないATM。
仕方ないのでATMは諦め、ダフ屋の勧誘を横目に
とりあえず正規の両替所でユーロをフォリントへと両替した。

両替したはいいものの、なかなか見つからないメトロのインフォメーション。
中央駅とメトロの駅が接続されているものとばかり思っていたのだがどうやら違うらしかった。
しかも英語があまり通じない駅のインフォメーション。
余計に分からずインフォメーションの前で軽く困っていると、
たまたま前にいた英語を少し話せる女性が「私もメトロにこれから行くから」と助けてくれた。
優しいと評判のハンガリー人。噂は本当だった。
女性に連れられ中央駅を出て、近くの地下に繋がる階段を下りる。
一見どこに繋がっているのか良く分からない階段。
メトロの表示が限りなく分かりづらかった。
この女性に連れて行ってもらわなければもう少し迷っていたに違いない。

無事駅に到着すると女性に切符売り場を教えてもらい、お礼を言って別れた。
ハンガリーの人は優しい。

とりあえず10回券を購入し、メトロで宿の最寄駅へ。
最寄駅から宿までも何人かに道を尋ねたがみんな優しかった。
やっぱりハンガリーの人は優しいらしい。
道を尋ねながら到着した今回の宿「Elite Apartments」は、
宿というより、アパートだけあってもはや家。
快適なスタジオタイプの部屋にはキッチン、冷蔵庫、洗濯機、
バスタブ、クローゼット、テレビ、ベランダと充実している。
家に住んでいるかのような快適すぎる広い空間。
もう初めて足を入れた瞬間から、今回の旅の中で一番居心地がいい宿なのは間違いなかった。
しかもこれで一泊50€なのがうれしい。

今日はもうすでに夜だったので、近くのスーパーで食材をゲットし
夕飯はケバブを食べて終了。


5月31日、
目覚めると、久々のホットケーキタイムにコーヒー。
今日から居心地が良すぎる家生活のスタートだ。
それにハンガリーはそれほど観光名所も多くなく、目星をつけていた場所も少ないので、
ちぃの療養生活を送るにももってこいの場所だった。

朝をゆっくりと過ごしながらiPhoneの天気チェック。
見ると今日が一番天気が良くそれ以外は雨も多い、
せっかくだから天気のいい日に色々と観光名所を廻っておくことにした。

宿の近くのシナゴーク(ユダヤ教の教会)を横目に見ながら
まず最初に向かったのは聖イシュトバーン大聖堂。
(初代ハンガリー王である聖イシュトバーンが由来となっている。)
ここではドームの周囲が展望台となっているため、とりあえず最初に入場料を支払い頂上へ。
エレベーターが見つからずひたすら階段を登ること約10分。
むき出しのドームの内側を通りたどり着いた、大聖堂の頂上からの眺めは最高だった。
ヨーロッパとはまたちょっと違う街並。
キレイに舗装された歩道は広々としていて、周りには整えられた緑。
ロシア系の影響なのかカラフルに装飾されたタイルやモザイク画の建物も多く目立っていた。

頂上からの眺めを堪能した後は発見したエレベーターで下へ降り大聖堂の中へ。
これがまた素晴らしかった。
金が大量に使用された豪華な装飾に、赤、青の大理石。
派手でカラフルでいながらも漂う神聖な雰囲気は
今まで見てきた大聖堂とはまた違う美しさがあった。

お次ぎはブダペストと言えば有名なくさり橋。
政治的中心地のブダ、商業地として発展したペストをつなぐこのくさり橋。
車の交通量が多いのが残念だったが、広大なドナウ川に架かる姿はきれいだった。
橋越しに見える王宮もまたいい。

くさり橋を歩いて渡り、そのままロープウェイで王宮の丘へと向かう前に
お腹も空いたのでランチタイム。
たまたま近くで見つけた地元の人が通うようなレストランに入ることにした。
せっかくだから地元料理を是非食べてみたい。
基本的にパプリカが絡んでくるハンガリー料理の中で
一番ポピュラーと言われているものがパプリカチキン。
これがまず食べたかったのだが、ポピュラーの割に置いてなかったので
ピザパンとハンガリーの代表料理であるグヤーシュを注文してみた。
(グヤーシュ:パプリカたっぷり入った牛肉と野菜の煮込み料理)
メイン二つ頼んで1000円しないから、さすが西欧・北欧に比べて物価が安い。

出てきた料理は素朴な味でどちらも美味しかった。
グヤーシュは日本でも食べられるようなスープの類いだったが、
ピザパンは何味なのか分からない初めて味わう味だった。
しかも厚みはピザの2倍近くあるためハンパないボリューム感。
二品食べただけでパンパンになってしまった。

昼食後は歩いて王宮の丘を登ろうかとも思ったのだが、
やはり病み上がりだけあって既に疲れ気味のちぃ。
心配だからもう今日はこの辺で引き返そうか、と言うと、
いやいやそれはないでしょ、的な発言で続行を望むちぃ。
考えてみればこのままちぃが引き返すわけがなかった。
とりあえず上り下り共にロープウェイを使い、
この後の王宮の丘の観光もゆっくりめ、ということで観光続行。

早速ロープウェイの往復券を購入し、久しぶりのロープウェイに乗り込んだ。
ゆっくりと下の景色を眺めながら登っていくロープウェイ。
距離的には短いものだがやっぱり乗るだけでテンションが上がってしまう。
そんな時間もあっという間に着いてしまった王宮の丘。
ここは王宮の他にも美術館や博物館、教会に砦などが並び
観光客に人気の観光スポットとなっている場所だ。

いつもなら大体押さえるのは美術館なのだが、
今回は美術館には向かわず目当てのマーチャーシュ教会と漁夫の砦へ。
お土産屋やレストラン街を通りながら、
途中に見つけたスーパーでキンキンに冷えたフルーツジュースを飲み干す。
少し歩くとすぐ目の前に見えてきたマーチャーシュ教会。
13世紀半ばにロマネスク様式で建てられたこの教会は時代が変わるたびに
何度も建て直され19世紀後半にネオ・ゴシック様式に改築されたという。
真っ白な塔にオレンジ色のモザイク屋根がとても可愛らしかった。
これもまた今まで見てきた教会とは違う雰囲気。
(中に入ったのだが残念ながらほとんど修復中。)

少し近づくと教会の裏側に見え始める漁夫の砦。
建国1000年を記念して作られ、1902年に完成したこの要塞は
実際に戦いなどに使われたことはないようだが、中世に魚市場があったとか、
ドナウ川の漁師が要塞を守っていた、とかが由来とかなんとか。

とにかく白い砦にとんがった屋根が面白く、
教会と合わさってとてもいい雰囲気だった。
またそれ以上に奇麗なのが、ここから見えるドナウ川越しのペストの景色。
様々な建築様式が取り入れられ作られた国会議事堂がひと際目立っていた。

これで一通り主要名所を押さえたので宿へ戻ることに。
ここまでゆっくりながらも暑い中大分歩いてきたので、何より気になるのはちぃの体調。
戻る前に一度ジュース休憩を挟むことにした。
心配していたちぃもしばらくのベンチ休憩とジュースで帰りの体力が回復。
帰りもゆっくりと少しだけ散策し再びロープウェイで下へと戻った。

帰り道は行きと違いメインストリートを通ってみると、これが予想以上の賑わいっぷり。
ブランド店が立ち並び、外のテラス席では大量の観光客がくつろいでいる。
そしてやたらアイスを食いたがる外人。
さすがに今日の暑さだとうちらも食いたいくらいだから仕方ないけど。
それでもアイスは今日は遠慮し、病み上がりのためチラ見程度で宿に戻る。
思っていた以上にブダペストは都会だった。

サラダとパスタを作り今日は終了。


それでは写真のハイライトで。





ワッサーがデザインした集合住宅


Elite Apartments






ペストの街並







聖イシュトバーン大聖堂とむき出しのドーム




頂上からの景色



くさり橋




ランチ




マーチャーシュ教会








漁夫の砦とそこからの景色

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