ー 5月26~27日 ー
5月26日、
今日の美術館はクリムトの「ベートーベン・フリーズ」を所蔵するセセッション。
(第14回分離派展のために「交響曲第9番」の「第4楽章-歓喜の歌」を絵画化した作品)
1897年にウィーンで画家グスタフ・クリムトを中心に結成された
新しい造形表現を主張する芸術家のグループ「分離派」。
絵画、彫刻、工芸、建築などの会員が集まり、過去の様式に捉われない、
総合的な芸術運動を目指した彼らの展示施設がセセッションだ(別名:分離派会館)。
建物の正面には分離派のモットーである「時代に芸術を、芸術に自由を」が刻まれている。
地下鉄の駅を出ると目の前に見えてくる金の立体(通称金のキャベツ)が印象的だった。
ベートーベン・フリーズ以外にも二部屋で現代アートの展示が行われていたが、
やはり圧倒的だったのはベートーベン・フリーズ。
地下の展示室の上壁三面を使い展示されたこの巨大な壁画は
交響曲第9番の展開に合わせて描かれている。
絵画とイラストの中間のような世界観。
連続して描かれる女性の姿はもはやデザインに近かった。
クリムトが今生きていれば、絶対Macを使っているに違いない。
途中にある余白は次の展示のために計算されていたり、余白も絶妙なバランス。
アーティストであり、デザイナー。
キャンバスに収まらない、新しい時代に合った芸術を模索する意志を感じた。
建物自体は大きくないが間違いなく当時は斬新な展示施設。
そしてこれからも時代に合った自由な芸術がここから生まれていくのだろう。
(美術館の詳細は世界の美術館めぐりで)
お目当てだったベートーベン・フリーズを堪能した後は、
たまたま近くで見つけた「Cha No Ma」というカフェで抹茶オレをテイクアウト。
英語で注文しようとすると、バリバリの日本語で「いらっしゃいませ」。
意外にも店員は全員日本人だった。
しかも本格的に抹茶を点ててくれる。
地元の人や外人観光客で賑わう店内。
こっちに移住してお店を出しているのだろうか。
おにぎりや抹茶が外人にウケているのがなんか嬉しかった。
次はどうしようかなと話していると、
置いてあった新聞で見つけた応用美術館でのクリムト展。
もともとここは行かないはずだったのだが、閉館時間までまだ時間もあったので
今日は美術館を二つはしごすることにした。
応用美術館は予想とちょっと違ったが、美術館自体は広くきれい。
さすがに一日に二つの美術館はきつかった。
観光も終わり宿の最寄り駅まで戻ると、一度はウィーン料理をということで、
夕飯は気になっていた近くのレストランで食べることにした。
お目当ては、ウィーン名物料理の「Wiener Schnitzel」。
これは子牛のカツレツのことなのだが、味もさることながらその大きさでも名物となっている。
メニュー表をもらっても全く分からないメニュー。
とりあえずテーブルに載せられていた写真を指差してお目当てのカツレツを注文した。
調子に乗ってワインも注文し久々のレストランディナー。
乾杯して間もなく出てきたカツレツは予想以上のデカさだった。
およそちぃの顔二つ分。(ちょっと言い過ぎだけど)
薄めに揚げられているので量はそこまでないが、それでも十分な量。
レモン汁を絞ってシンプルに食べるカツレツは普通に美味しかった。
まぁ、子牛じゃなかったかもしれないけど。
5月27日、
今日はいつもより少し早起きをして、
シュテファン寺院で開かれている日曜のミサを見に行くことにした。
(中に入って座らない分には無料で聞くことができる。)
九時頃に到着するとまだそこまで混んでおらず、無料ゾーンの最前列をゲットすることができた。
時間が経つにつれて徐々に増え始める人。
席もほぼ満席になっていた。
柵越しに眺めていると急に集まり始める人とカメラ。
遠くてちょっと分かりづらいが、何やら仏教の高僧のような人を取り囲んでいた。
その人が動くたびに騒がしくなる寺院。
横につけている屈強そうなボディガードを見る限りかなり偉い人なのかもしれない。
しかし誰なのか分からないまま奥へと行ってしまった高僧。
なにか今日は特別な日なのだろうか。
しばらくして現れた司教。
ドイツ語で色々話を始めたが、途中で驚くべき言葉が英語で話された。
「Todays special guest is Dalai Lama」
えっ!?
マジで!?
ダライ・ラマ!!!!????
なんかよく知らないけど、めちゃ偉い人だよね???
仏教や宗教の知識がなさすぎるうちらでもこれは驚きだった。
スペシャルゲストがまさかのダライ・ラマ14世。
と言っても全然どんな人かが分からないうちらは、Wi-Fiをつなぎ頼りのWikipediaで即検索。
調べたところによると、
ダライ・ラマ(Dalai Lama)は、チベット仏教において最上位に位置する化身ラマの名跡。
また17世紀(1642年)に発足したチベット政府の長として、チベットの元首としての地位も保有している。(Wikipediaから抜粋)
一番驚いたのはその地位の継承の仕方だ。
↓↓↓↓
ダライ・ラマが没すると、僧たちによって次のダライ・ラマが生まれる地方やいくつかの特徴が予言される。その場所に行き子供を探し、誕生時の特徴や幼少時のくせなどを元に、その予言に合致する子供を候補者として選ぶ。その上でその候補者が本当の化身かどうかを前世の記憶を試して調査する。例えば、先代ゆかりの品物とそうでない品物を同時に見せて、ダライ・ラマの持ち物に愛着を示した時、あるいはその持ち物で先代が行っていた事と同様のくせを行ったりしたときなど、その子供がダライ・ラマの生まれ変わりと認定される。(Wikipediaから抜粋)
さらに驚きなのは14世が3歳の時に真正ダライ・ラマの化身として認められた時の話。
なんと幼少時に、ダライ・ラマ13世の遺品とそれそっくりの偽物をいくつか見せられた時、
いずれも正しい遺品のほうを選び「それ、ボクのだ」と言ったという。
14世はこの制度をもう自分の代で終わらせようとしているみたいだが、
普通では考えがたい継承の歴史。
普段の生活では宗教のことなど考えもしなかったが、
こういう機会があると色々考えさせられることが多い。
まさかのダライ・ラマに驚いた後は、
美術館・カフェ・レストラン・ショップなどが集まるミュージアム・クォーターへ。
本とデザインショップが充実し、中心にある広場には幾何学形態の椅子が多く設置されていて、
広々とした空間を満喫出来て気持ちがいい。
ここではレオポルド美術館とmumokuを鑑賞。
前から楽しみにしていたのはレオポルド美術館だ。
予備校時代からずっと好きな画家エゴン・シーレの絵画が
レオポルド美術館には最も多く所蔵されている。
美術館に入ると真っ先に向かったシーレ展。
今まで本で見ていた絵画がずらりと並んでいた。
色調、タッチ、デフォルメの仕方。
全てが単純にかっこいい。
鈍く暗い色合いに、鬼気迫るタッチ、表情から受ける
ダークで孤独な印象も強いが、それ以上に人を惹き付ける力がすごかった。
唯一幸せそうに見えたのが小さなキャンバスに描かれ
隣り合わせに展示されていた自画像と奥さんの絵画。
シーレの絵画からは病みと孤独を感じる作品が多いが、
確かに幸せな時間もあったに違いない。
クリムトは絵画以外の表現手段でも生きていけた人だと思うが、
シーレは絵画以外に自分を表現できる道はなかったように感じた。
(美術館の詳細は世界の美術館めぐりで)
レオポルド美術館を見終わると、アムステルダム以来となるSkypeタイム。
お店でサンドイッチを購入し、広場の椅子に座り何度も通話ボタンを押し続ける。
今日はちょうど友達のバースデーパーティーが日本で行われている。
電波が弱くなかなか話しづらかったが、久々に灯メンバーと話せて楽しかった。
こういう機会がある度に早く夏になって地元に戻りたいな、と思ってしまう。
旅で一番きついのが灯シックとラーメンシックだ。
それでは写真のハイライトで。
日曜のミサ
レストラン
ミュージアム・クォーター
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