2013/01/23

バラナシが面白過ぎる




ー 121314日 ー
12月13日、
朝食はガンジス川ビューの屋上でバナナクレープとコーヒー。
宿のスタッフの若者たちもみんないい感じだし、朝食も美味しいのだが、
ただ一つ問題なのは、
ガンジス川が霧で全く見えない事だった。

いやいやいや、霧のレベルじゃないでしょこれは。

ってか屋上の柵以外何も見えないし。
もはやどんだけ濃いんだと、笑うしかなかった。
笑えないけど。

隣にいたケープタウンから来た白人家族と少し話しながら、
あまりの霧の濃さに苦笑いで部屋へと戻った。

準備を済ませ部屋を出ると、宿のオーナーにアーグラ行きの夜行列車のチケットと、
アーグラからデリーに行く列車のチケットをお願いした。
チケットは駅にある外国人用窓口で自分で購入することもできるのだが、
なんたってここはインド。
その行為だけで相当な労力を要するのは容易に想像できた。
実際みんなチケットを買う為に相当大変な思いをしていたし、
今日は休みだ、とか、ここは違う、とかたらい回しにされたあげく
違うツアーなどを勧められてしまうらしい。

優しく日本語もペラペラなオーナーにお願いすると、
安心してバラナシの町へと繰り出した。

微かに対岸まで見え始めたガンジス川を横目にプラプラ散歩。
すると、今度は牛ではなくヤギに遭遇した。
じっとガンジス川を眺めているヤギ。
町には猿も出るみたいだし、ここにいれば相当な数の動物に出会えるかもしれない。

ヤギに癒された後に今度見かけたのは牛のウンコをひたすら丸めて干しているおじさん。
おはぎ状にきれいに整えられたウンコ爆弾をいくつも並べていた。
牛の出したてホヤホヤのやつまですぐに丸めてしまう、その職人技に驚いた。
(ネットで調べたら、これはどうやら大事な燃料になるらしい)

他にもオレンジの袈裟を纏った修行僧や、地べたで気持ちよさそうに寝てる人、
ガンジス川で一生懸命洗濯している人、地面に干されている洗濯物、
くそ上手い日本語で話しかけてくる少年。そんな場所で自由気ままに生きている牛達。
ちょっと歩いているだけで様々なものに出会えるバラナシは、ただ歩くだけで面白かった。

今度は通りに入り、まずはインド服探し。
ガイドブックに載っていた「Jyoti Dresess」を見つけると、
俺は楽々パンツ、ちぃはスカーフに巻きスカートをゲットした。
値段はちょっと値切って合計700ルピー程度。
もっと値切る人もいるだろうが、ただでさえ安いのに、と思うとそれだけで十分だった。

その後散策していると「日本人ですか」と声をかけてきたインド人。
聞くとバラナシで有名な日本人宿「久美子ハウス」の従業員らしく、
日本語の本屋もやっているよ、というので面白そうだから付いていってみる事にした。

中に入ると、ガイドブック、小説、神話、宗教の本と幅広く揃えられた本棚。
せっかくなので、インドの神様の本を読んでみる事にした。
読み始めると意外に面白いインド神話。
あまりにも多過ぎてほとんど頭には入っていないが、
ガンジス川もガンガーという女性の神様なことが驚きだった。

本を読み終えると近くのレストランでランチタイム。
日本人が多いのか親子丼までメニューにあり、
外を見ると牛が普通に歩いているのが面白かった。
きっとここに定住しない限りこの光景に慣れることはないだろう。

ランチを食べ終わると、
最も賑やかなメインガートである「Dashashwamedh Ghat(ダシャーシュワメード・ガート)」へ。
ガートとは川辺に造られた堤のことをいい、バラナシにはあるガートの数は84。
その最初と最後のガートの名前を繋げると「バラナシ」になるらしい。

ガートに到着すると早速ひっきりなしにやってくる客引き。
大半はボートの勧誘で後はお店の勧誘や物売りだ。
それにしても多い。
ウザい国ダントツNo.1に挙げられる国だけあって、その数は相当なものだった。
これはさすがにいつも対応してしまう俺でも今回はキリがない。
ここまできたらもうあの技を使うしかなかった。

徹底したシカト。

それも耳が聞こえないんじゃないかという程のシカトだ。
もはや何も見えていないし、何も聞こえない。
それくらいの技を使っても、なかなかしつこい奴はしつこかった。
仕舞いには「Don't come India!!!」と日本語が達者過ぎるムカつく子供に言われたが、
それすらシカトしてその場を離れた。
さすがにこれ言われた時はマジムカついたけど、、、

それでも異様な光景が広がるバラナシは面白かった。
今まで行ってきた国が霞む程異国感がハンパない。
もう全てが違うんだろうな、という濃さが尋常じゃなかった。

そのままガンジス川沿いを歩き続けてたどり着いた火葬場。
ここがまた衝撃的だった。
一日中煙を上げながら24時間体制で休む事なく動き続け、
一日に焼かれる人の遺体は200体。
一人を焼き切るまでにかかる時間は3時間という。
今は電気式の火葬場もあるが、圧倒的に人気なのは木だけで焼かれるこの火葬場。
木で焼かれる方が香りも良く、きれいに焼けるらしい。
しかも更に驚いたのは火葬場のすぐ近くには死を待つ人々の施設が併設されていることだった。
沢山の人達が聖なる川に自分の骨を流してもらうために、ここに集まってくる。
なぜか女性の姿が一切なかったのが不思議だった。

火葬場を後にすると、今度はバラナシで一番人気のラッシー屋「BLUE LASSI」探し。
ネットで調べるとどうやらここが一番人気なのだが、
いかんせんバラナシだけあって、正確な場所が分からなかった。
得られた情報は火葬場の近く。ということだけ。
そんな頼りない情報を元に探すBLUE LASSI。
細い路地をひたすら歩き回り、もう無理か、という時に
奇跡的にBLUE LASSIと書かれた看板を発見した。

これだ!!

テンションが上がり、看板を見つけた道を曲がると
ついに発見した一面青の壁で造られたBLUE LASSI。
韓国人に人気らしく店内は韓国語に溢れていた。

いやいや、なんとかたどり着けるもんだね、
と話しながらとりあえずコーヒーバナナラッシーとリンゴラッシーを注文すると、
お兄さんが黙々とヨーグルトみたいなものをボウルで丁寧に潰し始めた。

ベンチに座り出来上がるのを待っていると、
店の前の通りでは音楽が流れながら定期的に担架のようなものが運ばれていた。
木で出来た簡易的な担架にはオレンジの布がかけられ紐で縛られている。
周りには花の飾りも付けられ、
遺体が運ばれていることはすぐに分かった。

そんな中出てきたのは飲み物というより濃厚な飲むヨーグルト。
絶妙な食感と果物も美味しく、初めて食べるタイプのラッシーだったが、
何よりも食べながら目の前で遺体が運ばれていく光景が不思議でならなかった。

食べ終わると、今日はもう宿へと引き返すことに。
途中からまたガートに入り次から次にやってくる客引きをシカトしていたが、
一人だけ嫌な感じがしない奴がいたので俺が対応してしまった。
ちぃを見ると明らかに疲れ気味。
お疲れモードのちぃには悪いなとも思いながら日本語での会話が始まった。

男の名前はキサで、年齢は20歳くらい。
どこにでもいるような普通の若者に見えるし、雰囲気的に良い奴な気がした。
話し始めると、やたら日本の芸能事情にも詳しいキサ。
ファンキーモンキーベイビーのケミカルがこの前来たよ、とか、
長澤まさみも来てたし、大沢たかおも見た、とか、
更にはうちらだって最近知ったスギちゃんをすでに知っていたり。
俺のプライベートにもやたら突っ込んでくる。
まぁでも嫌な感じがしなかったため、
ずっと会話を続けていると色々な疑問点も解決することができた。

外を自由に闊歩している牛達は夜になると誰かが一定の場所に集め、
エサもちゃんと与えていること。
ってか牛だけじゃなくてイカツイ奴はバッファローだったこと。
(バッファローのミルクの方が味が濃く、乳製品に加工するには適しているらしい)
火葬場に女性の姿がないのは、
女性がその場にいて泣いてしまう事でその人が成仏できないからということ。
ガンジス川の対岸にもちゃんと村が存在していること。

特に一番自分との違いを感じたのは、前世や来世など輪廻転生が
当たり前のこととして捉えられている事だった。
現世は現世、良い行いをすれば来世はもっと良くなる、という考え方。
現状にはあまり不満を抱かず、来世への希望に託した生き方。
悪く言うと向上心がないようにも見えたが、それはそれで幸せなのかもしれない。
どちらが良いかなんて分からないが、人としてここが一番違いを感じるポイントだった。

一通り話し終えると、最終的にはやっぱり自分のお店の勧誘になったが、
ちょっと疲れてると言うと、その後は全くしつこく勧誘してこないキサ。
別れ際に「日本語を喋るインド人には気をつけた方がいいよ」と言ってきたのが面白かった。

他にも旅行の写真を見せた時に「イタリアきれいだね」と言っていたのが頭に残る。
バラナシから外国に出る事はホントに難しいんだろうな。

宿に戻ると、今日もLotus Loungeでパスタとチャイを頼み、終了。


12月14日、
今日は朝5時頃に起きると、昨日お願いしていた早朝ボートツアーへ。
ツアーといっても小さなカヌーで漕ぎ手兼ガイド一人とうちら二人だけなのだが、
せっかくなので早朝から始まる沐浴を眺めるために参加してみた。

宿を出ると相変わらずの霧。
それでも昨日に比べればまだマシだった。
この時期は日の出も日の入りも見る事はできないし、昼になっても視界がクリアになる事は少ない。
むしろ霧なのかなんなのかも分からない白いモヤ。
ちぃはバラナシに到着以来ずっとマスクをしているが、
さすがに朝のボートは俺もマスクを着用する事にした。
それと霧以外にもう一つ意外だったのはこの時期のバラナシは寒いということだ。
暑いと思っていたら、ダウンを着る程の寒さ。
まぁ夏は50℃まで上がるというから、それなら寒い方がいいけど。

ガイドに連れられボートに乗り込むと、まずは近くの小さな火葬場へ。
ガートに目をやると、思ったほど沐浴している人は少なかった。
他にも多くのボートが朝の沐浴を眺めに出ているため、
霧にまみれたガンジス川沿いの風景を見るのもまた幻想的で美しい。

昨日見た火葬場まで進み、後は引き返し始めると徐々に増えている人々。
この寒い中服を脱ぎ、ガンジス川に身を埋めお祈りを捧げている。
もちろん女性は衣服を着たままだが、それでも多くの人々がそうしている姿は印象的だった。
人々にとってどれだけこの行為が大事なものなのかが伝わってくる。
中には風呂代わりにしている人もいたけど。

朝のボートを終えると、屋上で朝食を食べ、プラプラ散歩。

ランチはガイドブックに載っていたカフェ「i:ba Cafe」へ言ってみる事にした。
外に出ると相変わらず牛がノソノソと道路を歩いている。

完全に邪魔だ。

それでもインド人にとっては神聖な生き物。
さぞかし大事にしているのかと思っていたら、
クラクションはガンガン鳴らされるし、手でペチペチされるしで、
散々な目に遭わされていた。
ホントに神聖な生き物なのだろうか。疑問だ。

目当てのi:ba Cafeはなんと日本語メニューまで用意されていて普通に美味しかったが、
帰ってから飲んだ宿の隣のチャイが美味しかった。
しかも一杯5ルピー。
日本円に換算したら10円もしない。
それを一生懸命丁寧にいれてくれる貫禄のあるおじさん。
いったい一日に何杯のチャイを作るのだろうか。
きっと長年このお店で一人でチャイを作り続けているんだろうな。

そう思って話すと、おじさんは25歳だった。

若っ!!
ってか俺より年下だし。

まさかの年齢に驚かされたが、チャイがホントに美味しかった。
そのことを告げると、はにかむような笑顔を見せてくれたことがなんか嬉しかった。

部屋に戻ると、気になっていたのが列車のチケット。
どうやらこの時期はハイシーズンらしく、昨日の時点で空いていた席は1席だけだった。
オーナーが一生懸命探してくれて、今日の朝一で取りに行っていたので、
それが気になっていると、どうやら列車のチケットを無事ゲットしてくれたとのこと。
(変更点はバラナシ→アーグラが夜行ではなく15日の朝発になったこと)
良かった、これでアーグラもデリーも無事行くことができる。
チケットを受け取ったときの安堵感はハンパなかった。
これが取れなかったら一体何で移動すればいいかが分からない。

安堵して部屋でしばらくゆっくりすると、次は夕方の儀式に合わせたボートツアー。
メインガートではアールティと呼ばれるガンガーに火を捧げる儀式が毎日行われているのだ。
朝と同様ガートからボートに乗り込み始まったボートツアー。
今回のガイドの人はよく喋るし、自分の奥さんや子供の写真を見せてくれるなど面白い人だった。

しばらく進み、ボートを停めると夕方6時過ぎから始まった儀式。
結婚前の若い上流階級5人の男性によって、火や鈴、杯、太鼓を使った儀式が行われている。
それを見守る多くの人々に観光客。
うちらの後ろにいた女性が深くお祈りを捧げている姿も印象的だった。

ボートツアーが終わると、またさっきのチャイ屋で一杯。
遊びにきた子供と一緒にみんなで写真を撮って部屋に戻ると、
バラナシ最後の夜もLotus Loungeで夕飯を食べて終了。


それでは写真のハイライトで。


















ガンジス川沿い





通り











Dashashwamedh Ghat





BLUE LASSI


キサ












朝の沐浴ボートツアー






宿の隣のチャイ屋





夕方の儀式

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